昆虫病原性糸状菌-ボーベリア菌-にかかったヒグラシ

カビふいたヒグラシ
カビふいたヒグラシ

ヒグラシから出ている白いカビは,昆虫病原性糸状菌の一種であるボーベリア菌によるものです。これに昆虫が取りつかれると,体から白いカビが生えてきて死に至るといいます。病名は「白きょう病」。昆虫にとっては恐ろしい不治の病です。写真の白いカビの生えたヒグラシは歯の裏側につかまったままなので,死んでからカビが生えたのではなく,このボーベリア菌に取りつかれて殺されたものです。ボーベリア菌の生き方は,冬虫夏草とよく似ているといえます。冬虫夏草の場合は,昆虫からキノコが生えてきますが,この場合はカビだったというわけです。昆虫たちにとってなんとも恐ろしい昆虫病原性糸状菌ですが,このボーベリア菌は、カミキリムシあるいはカメムシなどの昆虫に対しての「生きている殺虫剤」としてすでに製品化されています。「毒をもって毒を制する」ということでしょうか。人体には影響ないと思いますが,人間ってすごいですね。

関連タグ: 写真だより2010年08月  2010/08/18  | yamagawa1957

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